鈍感ガールと偽王子


あたしは再び紙を手に取って、書かれているメールアドレスを打ち込んだ。



これ、なんて送ればいいの?



「……」



しばらく悩んだけど、結局無難に『篠原美結です。これからよろしくね』とだけ打った。



それでここからまた悩んで、文末に絵文字をひとつだけつけて、送信した。





……何も、間違ってないよね?



送った後で不安になっていると、ピロリンと携帯が鳴った。



「返信早っ!」



メールは椎葉くんからで、こちらこそよろしく、と書いてあった。




……こんな、なんでもないメールなのに。


 
あたしはどうしてか、ほわりと、心が温かくなったような気がしていた。



< 41 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop