鈍感ガールと偽王子
……でも、なんでそんなすごい人が、あたしなんかと一緒にいるんだ?
しかも、一夜を共にしたときたもんだ。
…全く、意味がわからない。
「……ねぇ、椎葉くん」
「へ?お、もしかして昨日のこと思い出した?」
ひーひー言いながらも、やっと笑いがおさまったらしい王子、いや椎葉くんは、嬉しそうな顔をしてあたしを見た。
…くそぅ、やっぱりかっこいいなこの人。
「違う。思い出したのはあなたのこと。椎葉くん、有名だからあたしが一方的に知ってただけ。どうして知り合いになってるのかは全くわかんない」
「なんだよ。…じゃあ、昨日の飲みも覚えてないわけ?」
どこか拗ねたように、椎葉くんは言った。