恋するキミの、愛しい秘めごと

「このままがいい」

「え?」

「俺に抱かれてる時の日和、全部見たい」

その言葉の意味を考える間もなく、塞がれた唇。


「ん……っ」

さっきまでとは全然違う、噛み付くようなキスに甘い声が漏れると、撫でるように髪を梳いていたカンちゃんの手に、そのまま頭を掻き抱くように強く引き寄せられる。

何度も何度も角度を変えながら、食むようなキスを落とされた。


「日和、口開けて」

掠れた声でそう囁かれて、私はまるで催眠術にでもかけられたみたいに――……

「――咬むなよ?」

口内にすべり込んできたカンちゃんの舌に、夢中で自分の舌を絡ませた。


当たり前だけれど、知らなかった。

カンちゃんがこんなキスをする事も、

「あ……や、ンっ」

こんな風に――愛でるように、女の部分に触れる事も。


私の敏感な部分を探りながら、ゆっくりと。

榊原さんが落とした痕にしっとりとした舌を這わせ、まるで毒を吸い出すように自分のしるしを重ねていく。


私が吐息を漏らす度に、口元をわずかに緩め、黒目がちな瞳を細めて笑う。


「カンちゃ……ん」

「ん?」

「私だけ裸、やだ」

切れた息を整えながらそう言うと、カンちゃんは着ていたシャツを脱ぎ捨てながら、何故か楽しそうに笑った。


「あんま可愛いこと言うと、メチャクチャに抱いちゃいそうだからやめて」

程よく引きしまった体に手を伸ばし、胸元を撫でるように指を滑らせると、唇から吐息にも聞こえる小さな溜息を漏らす。


「日和の肌、すげー気持ちいい」


――私もそう思っていた。

シャツを脱ぎ捨てたその体に抱きしめられただけで、フッと息が漏れてしまうくらい。

私よりも少しだけ体温の高いカンちゃんの体は、すごく心地よくて、ホッとした。
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