LOVE BOX~光を探して~


その日から、私の毎日は変わった。



ケンは先輩に大好きなはずのギターのパートを譲り、器用にドラムを叩き始めた。



まだ見つからないベースを慣れないながらも私がサポートをして、しゃがれた声を張り上げる姿が印象的な将君も、いつしかこのバンドで歌い始めた。



学校では同じ活動をする仲間。

放課後は一緒に同じ夢を追う仲間。



プロになりたい!なんて、そんな事は思わなかったけど大好きなバンドの曲を4人で作り上げていく過程がただ楽しくて、日々のめり込む。



「葵!これありがと!6曲目が俺は好きだな~」


「うん♪あのギターの感じケン好きそうだよね?」



互いにCDの貸し借りをしたり、電車に乗って遠くのスタジオへ行ったり。




一番ケンに近い徳井先輩が少しだけ恨めしい。というか羨ましかったりはするけれど。



どんどんドラムの腕が上達していく度、私にも笑いかけてくれる時間が増えていく。



ケン……私、もう黙ってられないかもしれない。



側にいれるだけで幸せだって思ってたのに、仲間じゃなくて、もっと側に行きたいよ。


< 27 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop