欲しかったもの
「大学まで追いかけてきたくせに、おまえは一度も俺を見なかった。気付けば勝手にいなくなって、一体何がしたいんだよ?」

先輩がそれを言うの?
どんな思いで、気持ちを断ち切ったと思うの。

「私が人のものだから興味を持っただけでしょ。来るもの拒まずの先輩が自分から事を起こすなんて、ただの気紛れ」

さっきから鳴り続けている胸の早鐘とは裏腹に醒めた目をすれば、彼はクッ、と喉の奥を鳴らした。

「からかい半分で来たけど、今の美緒には通用しねーみたいだから――……」



‘本気で奪い返してやるよ’

先輩は一瞬切なげに目を細めると、私の腰を引き寄せた。

余裕のないその顔は、私がずっと欲しかったもの。
先輩が追いかけてくれるなら、私はこれからも、誰かのものでいる。
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:9

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

Uncontrolled(アンコントロールド)

総文字数/43,601

恋愛(キケン・ダーク)59ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
繰り返し見る夢は、 何を暗示しているのだろう。 淡い恋の思い出は、 再会の訪れを 予感しているのだろうか。 恋がしたい、恋がしたい、恋がしたい。 uncontrolled. 他のことなんて考えられないくらい、 恋に溺れさせて。
最後の男(ひと)

総文字数/35,762

恋愛(オフィスラブ)53ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
‘これが最後の恋になるかもしれない’ 誰かを好きになる度そう思うのに、 男たちは私のうえを通過していくだけ それでも、いつもどこかで期待している 最後の男に出会えることを――
欲しがりなくちびる

総文字数/100,386

恋愛(キケン・ダーク)172ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
額に、頬に、瞳に、優しいキスを落としていくのに、 その口唇は、いつだって欲しい言葉を言ってくれない 嘯く口唇に翻弄されているのは、私だけ? それとも……

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop