後悔
 私は一歩足を前に出し、彼に近付いて、花嫁の白いオーガンジーの手袋をはめた手で、彼の唇をひとさし指ですーっとなぞった。
 その刺激に、酔うようなウットリとした官能の瞳に代わる彼……。

 私は更に、自分の唇を彼の唇に触れるぐらいまで顔を近づけてから、ふっと横に反らし、彼の耳素に囁いた。

「もう忘れた!! 忘れられないのはあんただろうボケ!!」

 私は悪魔の言葉を囁いた。私は可笑しくて笑いの涙を必死で堪えていたのだ。


 その瞬間カッと目を見開き、心を打ち砕かれたような表情で呆然とする元彼。それと同時に、スタッフがマスターキーを持って来て、控え室の扉を開けて入って来た。
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