お嬢様の秘密Ⅱ
約束した夜6時になった。


………どうしてこんなに寒いのにイブニングドレス?


国松がニコニコ顔で持ってきた時、軽くめまいがしたわ。


大樹のチョイスらしく………ワインレッドでスレットが入っている。


ーコンコン


「………入ってもいいわよ。」


国松が扉を開け、大樹が入ってきた。


ソファでコーヒーを飲んでいた私を凝視している。


「似合いすぎだろ………。」


何か言った?


「さあ、予約の時間が迫っておりますよ。」


「そうだな。行こうか、りい。」


大樹が差し出した手に自分の手をそっとのせエスコートしてもらった。


………スレットから脚が見え隠れしていて恥ずかしい!!


ーグラッ


履き慣れていない高いヒールでバランスを崩しかけたところを大樹に助けてもらった。


「大丈夫か?………すまないもう少し低めの方が良かったか?」


そう、靴も大樹のチョイス。


「いいえ………。私好みで気に入ってるのよ。でも履き慣れていないと大変ね。」


「じゃあ俺の肩に手を回せ。」


え?こういうこと………?


腕を回したのを確認して私をスッと抱き上げた。


そのまま歩き始める。


「え………ちょっと!私重いから自分で歩くわよ!」


しかもここ寮の中!


誰かに見られたらどうするの!


私が大樹の腕の中でジタバタしていると………


「どこか重いんだよ………。見られたら俺らの仲を見せつけたらいいだろ?それとも………そんなに俺から離れたいのか?」


………そんなことを言われたら………。


寂しそうな顔を浮かべていたら………


「離れたくないわ………。」


「そうか。………良かった。」


安心した顔を浮かべて笑ってくれた。


「お腹いっぱいですよ………。彼女に会えない俺にはきつい………。」


「雷也………。今は私情を捨てるんだ。」


雷也と国松がそんな会話をしていることは気づかなかった。


< 101 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop