お嬢様の秘密Ⅱ
「速いね、葵……。そんなに急いでも私は逃げないわよ……。」


「そんなこと言って、全然息切れしてねぇよな?」


私たちは近くのベンチに座った。


私は周囲を見渡して様子を確認した。


「で?人払いしたわよ。聞かれたくない話があるんでしょ?」


「………よく分かったな。」


「だって理央や夏菜さえも追い払ったのよ?気づくなって方が無理よ。」


「………言っていなかったことがあるんだ。」


突然暗い声で私にそう話す。


「………一時期婚約話が出たことがあるんだ。………真理亜と。」


「……………え?」


だから葵に執着していたの………?


「俺は当然断ったし、話はボツだ。だから最近出た婚約の噂は真理亜の心理作戦だと思う。」


心理作戦って………?


「噂の出どころは蟻川陽菜だった。親から入れ替わったには捨てたからだと思わせたかったんじゃないか?

しかし、今まで全く動かなかった大樹社長が動いたから焦っているはずだ。」


「確かにだいぶ………今まで虐めれれても全く気にしていなかったのに今回は堪えたかも………。」


「陽菜と会ったことあるんだろ?だからユリがどんな人柄なのか熟知されているのかもな。」


今までにもなんか視線を感じたみたいなことがあったけど全て気のせいにしていた。


あれは陽菜の視線だったのかな………。

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