お嬢様の秘密Ⅱ
「ユリ、落ち着いてね。」


リムジンの中で夏菜が私の背中をさすってくれた。


実はちょっと手が震えていたんだ………。


「私は大丈夫よ。それより夏菜よ、寝てないんでしょ?隈を頑張って隠してるみたいだけど。」


「うぅ……ばれた………。」


そんな私たちの会話を見守ってくれている葵。


「とりあえず………俺らの家がほぼ同格でよかった………。」


それは確かにある。


最初から知っていて仲良くしているわけではないけどたまたまにしては出来すぎてる。


「莉依紗様って策士だからユリが困らないように手を回したんじゃない?」


「さあ?………そろそろ着くね。」


窓を見ながらサラッと話を変えた。


「でも学園って山の中にあるんだね……車での道はいつも遠回りだったから知らなかった。」


「私も初めて見た。」


「初めて入る時は遠回りをして、避難ルートを確認するのが決まっているんですよ。

それと目隠しをするのは主人の性格によって遠回りをするのでご機嫌を悪くされる方がいるからバレないようにとのことですよ。」


運転していた広大さんがそっと解説を挟んでくれた。


「ねえ、広大さん。………今からお祖父様のところ行ける?」


「はい。あと5分ほどで。………お嬢様がおっしゃるんだから大事な話ですね。」


「そうね。ユリの目がキラッと輝いてたし。」


そうなの?


「葵と夏菜、それから理央と志穂ちゃんと広大さん。………今から話すことは他言無用でね。」










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