お嬢様の秘密Ⅱ

いとこ

どうやって戻ったのか覚えていない。


かなり怒っている夏菜に引っ張られて誰も来ないイーストテラスを陣取った。


「ユリ!ごめん………本当にごめん…………。」


「なんで夏菜が謝るの………?」


夏菜は何もしていないじゃない。


「だってまた、また守れなかったの!守るって決めたのに………。」


ギュッと抱きしめた夏菜はかなり震えていた。






「2人とも悪くないよ。悪いのは真理亜だ。」


懐かしい男の子の声。


「誰………?」


夏菜は警戒した声を出した。


一旦夏菜から離れ、声がした方を見た。


え………?


「りょう兄ちゃん………?」


「覚えていてくれたんだね。そう、改めて自己紹介を。俺は3年AクラスでSランクの山岸亮治。ユリのいとこだよ。」


「ユリ、会ったことあるの?」


「うん。しょっちゅう会ってたよ。そうこの人が志穂ちゃんの婚約者。」


「そう。志穂から話は聞いているよ。夏菜様のこともね。」


ゆっくりと私に近づき、そして私の頭をそっと撫でた。


「ほら、泣いてもいいんだよ。」


「…………っ」


私はりょう兄ちゃんに抱きつき、子供のように泣きじゃくってしまった。
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