お嬢様の秘密Ⅱ
「お姉様!お姉様!………はあ………はあ………。」


泣きながらうつむいていた真理亜様がパッと前を向き車椅子をこちらに向かわせた。


「ユリ!………何があったの!?やっぱり……。」


車椅子から立ち上がり、私に抱きついた。


一瞬私が震えたことに気づいた真理亜様は遠慮がちにそっと私から離れた。


とりあえず真理亜様を落ち着かせて車椅子に座らせた。


「ギリギリ貞操も唇も守ったわ。だいぶボコボコにしたから追うことはできないわ。」


「………あの男たちが言った言葉の意味は知っていたの?」


「………夏菜にそういう知識は最近植えられているからね。」


真理亜様は泣きながら、それでも安心したように笑ってくれた。


「ここからならフラワー宮は近いわ。急いで行きましょう。………それとこれを着て。」


真理亜様は自分が着ていた毛布を私に貸してくれた。


「………いいんですか?」


「いいも何もその格好で歩いてはダメよ!」


そう言われて自分の格好をようやく思い出した。


「………分かりました。では車椅子を急いで押しますから捕まっていてくださいね。」


「分かったわ。とりあえずずっとまっすぐ行って。」


私たちは急いで森を去った。
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