お嬢様の秘密Ⅱ
寮へ帰ったのはその日の夜の9時頃だった。


竜也に遅めの夕食を頼み、俺は今日言われたことを少し整理していた。


「西月か....。あの子は何も悪くないのに親が悪い噂があるとなるとな...。」


悪い噂が広まってしまうと一気に崖に立たされるような世界だ。


「大樹、明日から恵梨香様は大樹の婚約者ってことだろ?

いろいろと大丈夫か?」


今日の料理はフレンチか....。


まぁ悪くはなさそうだ。


「さあな。親の噂で子供も悪いようにみなされてしまうのは大変だよな、この世界。」


「確かにな。明日からみんなへの接し方に注意しなければいけなくなるな。

....お疲れ、大樹。」


「ひとつ気になることがあるんだが.....。」


「なんだよ。さぁ、夕食できましたよ、お坊ちゃん。」


「お坊ちゃんって言うのやめろ。お母様が狙われたかもしれないっていう件。

あの話をするとき、お母様は恨んでいるというよりか悲しそうにしていた。

だから犯人をお母様は恨めないんじゃないか……とおもってな。」


「それはつまり....。」


「親のいいなりにならないとなんかされてしまう、または自ぼれるわけじゃないが、俺に婚約することを強要させたい人物....。」


「婚約したいって...お前は確かにいろいろとモテるけどお前の口から聞くとキモいな。ナルシストみたい。」


「しょうがねぇだろ。あんなにも女が集ってきて鈍感だったら俺はとっくに喰われてるぞ。」


「お前昔女遊びしてただろ....。」


冷めた目で俺を見てくる竜也。


「話がそれた。何はともあれ明日からのことを思うと気が重いな....。」


「あぁ....。」


お袋の分の仕事は当分の間親父がやるらしいし、俺はお袋の件をはっきりさせたい。


「ひとつ聞いていいか?」


「何?」


竜也はニヤニヤしながら俺に聞いてきた。


「お前って.....マザコンだよな?」


「......ちげーよ!!」


-大樹side end-
< 42 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop