小さな宝箱

もし神様がいるのならば…

僕に向かって『好きだよ』って、照れながら笑う君はもう居ない。

僕が手放したんじゃなく、神様が取り上げた。
神様は残酷だ。神様は人々を幸せへと導く為にいるんじゃないの??

どうして彼女を奪うの?僕が気に入らない?応えてよ…


つい昨日までは隣にいた君はベッドに横たわっている。
綺麗な顔を白い布で隠して。
彼女は恥ずかしがりやで、よく手で顔を隠していた。
…今はそんなに恥ずかしいの?
それだったらよかったのに……
半分を包帯で覆っていた。
生気を失った白い顔。


隣ですすり泣くのは、僕と彼女の両親。
外はまるで空が泣く様に降り続いてる雨。


悔やんでも悔やみきれない。
心の中は、彼女の笑顔でいっぱい。
脳裏には、白く生気を失った顔が焼きつく。

ボロボロに崩れ落ちた心と体。
なんて人間はもろいのだろう…。


「もし神様が居るのならば、彼女を返して?
それができないのなら、彼女と同じ所へ連れて行って」

そう呟いて向かうのは死者への階段。
君が居たら怒るよね?
小さく笑って、死者の国へダイブする。

痛くもないし、温かくも冷たくもない。
僕は君が居ないと駄目らしい…

ねぇ神様。彼女と同じ所へ連れて行って…?

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