夢の欠片
「そうか!気づかなかった!

ありがと~翔吾!」


突破口を見つけて嬉しくなった私は翔吾に抱きついた。


「お前ねぇ、いくら俺が安全だと思ってるからって、ちょっとは遠慮しろよ」


翔吾は小さくため息をつくと、そう言って私の背中をポンポンと叩く。


なんだかんだ言いながら受け入れてくれる翔吾が、ますます好きになっていた。


だけど今はその思いを隠して、妹的立場を存分に楽しむ。


これが女と男の関係なら、こんなこと恥ずかしくて自分から出来ないんだろうなと思った。


思う存分抱きついてから満足して体を離すと、翔吾は私と目を合わせて優しく微笑んだ。


その笑顔がたまらなく色っぽすぎて、胸の鼓動が止まらなくなる。


私は顔が熱くなるのを感じて、きっと真っ赤になってるだろう自分の顔を、翔吾に隠すように俯いた。


さっきまで抱きついてたくせに、何で微笑まれたくらいで真っ赤になってんの?


自分で自分がよくわからなくなる。


そんな私を見て、ククッと笑いながら、翔吾はわざと私の顔を覗きこんだ。


< 122 / 289 >

この作品をシェア

pagetop