夢の欠片
いくらそう言われても、何でそんなことを言うのか私には分からなかった。


私の居場所を否定された気がして悲しかった。


でもいまなら分かる。


きっとあの場所にずっとはいられないってことを翔吾や舞さんは知っていたんだ。


あのまま学校にも行かずに、ずっとあの場所にいれば、どうなるかなんて目に見えてる。


あそこに長くいた二人だからこそ、まだ13歳だった私に同じようになってほしくなかったのかもしれない。


きっと美樹ちゃんにも同じように思っていたと思う。


あの二人はお兄さん、お姉さんがわりだったんだから……


そんな時……あんな事件が起きて……


きっと二人は美樹ちゃんをあちら側に帰せなかったことを悔やんだに違いない。


だからこそ翔吾は、私を普通の中学生に戻したかったんだ。


そう……今ならわかる。


普通の中学生になった今なら……


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