夢の欠片
「ごめんな……?

お前が可愛いことするから、ちょっと……止まんなくなった」


別に覚悟してきたから、全然いいんだけどな……


逆にキスくらいで気絶する方が恥ずかしい。


でも待って?可愛いことって?


翔吾に火をつけたのは私なの?


「可愛いことって……

誕生日にケーキ買ってきたこと?」


私が不思議そうにそう言うと、翔吾はニヤッと笑って言った。


「ひなが先に俺にキスしたからだろ?」


「――っ!」


やっぱり起きてたんだ!


どうしよう、恥ずかしすぎるよぉ!


私は咄嗟にクルッと翔吾に背中を向けて、顔を隠した。


「せっかく俺がずっと我慢してたのに誘惑しやがって……

どうしてくれんだ?こらっ」


私の背中を軽く押しながら、翔吾はそう言って笑った。


我慢してたって何?


翔吾も私が好きってことなの?


でも好きならなんで我慢なんてするんだろう?


「あの……翔吾?

なんで我慢してたの?

今時の高校生なんかもっといろんなこと知ってるのに……」


背中を向けたまま、そう聞いてみると、翔吾はクスッと笑いながら、その理由を教えてくれた。


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