夢の欠片
そうされることが、私の存在を認めてくれているようで心地いい。


夜の街を彷徨く理由のひとつは、翔吾に会えるからでもあった。


夏のムンムンするような大気の中で、この繁華街はタバコや酒に溢れ、さらに空気を悪くする。


それでも私はこの場所が好きだった。


みんなが私に優しくしてくれる。


私の居場所がそこにはあった。


「あれ?ひなじゃん!

最近来てなかったけどどうした?」


5、6人でたむろしている中の一人が私に声をかけてくる。


4つ年上の舞さんだ。


この辺りのお姉さん的存在で、私のことも本当の妹みたいに可愛がってくれている。


「それが学校から連絡あったみたいで、行ってないのばれちゃったんですよ

それでしばらく親が外に出してくんなくて……」


「あ~、そりゃ災難だったね?

まあ嫌なことは忘れてさ、遊ぼ?

こっちおいでよ」


にっこりと優しく微笑む舞さんは、少し切れ長の目をした美人で、私の憧れの人。


長い髪をかきあげる仕草はセクシーでカッコいい。


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