夢の欠片
動揺している私に、翔吾は何かを察したのか、ニカッと笑いながら私の顔を覗きこむ。


「大丈夫だって!

別に部屋に連れ込んで何かしようとか思ってないから」


まるでお前なんか女として見てないから安心しろって言ってるみたいに、翔吾は大きな声で豪快に笑う。


私はそれはそれで、なんとなく残念な気がして、ガックリと肩を落とした。


そんな私を見て、翔吾はニヤリと口の端を上げて笑う。


「それとも期待してた?」


覗きこまれたままの状態で、そんなことを言われて、顔が瞬時に熱くなる。


きっと真っ赤になってるはずだ。


図星をさされたのと、もしそうなったらって想像したのとで、翔吾の顔が見れなくて勢いよく下を向いた。


まだキスの経験もないのに、何舞い上がってんだろう!?


恥ずかしくて穴に入りたいくらいだった私に、翔吾はフッと笑って言った。


「冗談だよ! 冗談!

中学生に手ぇ出すわけないっしょ?

俺、そんなに鬼畜じゃないし、ロリでもないから」


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