夢の欠片
「うわぁ……綺麗にしてるんだね?

男の一人暮らしとは思えな……い」


思わず思ったことを口に出してしまってから、ハッとして翔吾を見た。


翔吾は気にする風もなく「だろ?」と得意気に言いながら、台所に向かう。


冷蔵庫を開けると、ビールとジュースを取り出して、一つしかない部屋に戻ってきた。


「はい、お子ちゃまにはジュースね?」


からかうように笑いながら私にジュースを手渡すと、自分はビールをプシュッと開けてゴクゴク美味しそうに飲む。


自分だってまだ未成年のくせに……


頬っぺたを膨らませて恨めしそうに翔吾を見ながら、自分も渡されたりんごジュースを一口飲んだ。


「美味しい……」


暑い中歩いてきたせいで、冷たいジュースが喉に染み渡る。


膨れっ面だった私の顔は、いつの間にか満面の笑みに変わっていた。


そんな私を優しい眼差しで見つめながら、翔吾は窓にもたれかかって、またビールを飲む。


サワサワと気持ちのいい風が入ると、翔吾は心地よさそうに目を閉じた。


その顔がどことなく寂しそうに見えて、少しだけ不安になる。



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