もう、ひとりにしない。


「よし、いいかんじ。さっきまで泣いてたなんて、思われないわね。」

そう言いながらにっこり鏡の前で笑う。

そう、あたしはこうじゃないと。

後姿も確認してよし、とドアを開けた。

「あ、、、。」

するとフロアへ出る曲がり角の手前にソニーがいた。

視線に気がついたのか、ちらりとこちらを見た。

どうしよう、今日はもう話したくない。

やっと、気持ちが落ち着いたのに、もうあんなふうになるのはいやだ。

いいや、素通りしちゃえ。

カツカツとヒールを鳴らして通りすぎようとした。
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