もう、ひとりにしない。


「でも、いいの?カリフォルニアで。あなたならどこでもひっぱりだこだったでしょうに。」

彼は、在学中から軍医医科大学の超特待生として様々な大学に知れ渡っていて、今でも彼の実力を欲しがる病院はどこにでもあり、彼ならもっと都会の優れたところへ行けたはずなのだ。

ロスの病院が決して劣っているというわけではない。

けれど、ワシントンでも、ボストンでもきっと彼を呼んでいたはずだ。

「おまえがいなきゃ、意味がない。あの時は、仕方なかった。おまえを失いたくなくて、手放した。、、、、でも、もう、俺も軍医は辞めたんだ。なら、行くところは決まってる。」

終わりに近くなった煙草を大きく吸い込んで、もみ消し、窓へ捨てた。

電話のベルが聞こえてきた。

向かいの部屋へ行って電話をとった。
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