モカブラウンの鍵【完結】
「なあ、結婚っていいか?」

松下さんの結婚のことを聞いてから、自分の結婚を考えるようになった。

来年は26だし、結婚してもおかしくない歳なんだよな。


「へえ、いるんだ。そういう相手」

「まあな」

「どんな人だよ」

さっき照れていが嘘のように、缶ビールを片手に言ってきた。

俺は枝豆を咥えながら「俺のことはいいから、結婚」と返す。


「いいな。好きな人が家に帰ると居るんだぞ。そんな幸せなことってないよ。リョウの彼女って、どんな人だよ」

「教えない」

「なんだよ、それ。教えろよ」

俺たちは高校生みたいなやりとりを、深夜まで続けていた。

堪には、気楽な相手とバカ騒ぎするのも悪ないと思った。

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