モカブラウンの鍵【完結】
ポケットからモカブラウン色のテディベアを取り出す。

その先に付いている鍵を鍵穴に差し込み、回した。


「ただいま」

部屋に向かって言うと、スリッパの音をさせながら奈央美が玄関まで出てくる。


「お帰りなさい」

俺のカバンを手から取って、リビングへ行く奈央美の後ろ姿を見つめる。


新婚さんだな。新妻か。いい響きだ。

そんなことを考えている俺に「ごはんにする? それともお風呂にする?」と聞いてきた。

「えっ、あ、ごはん」

「わかった。すぐに準備するね」と言って、奈央美はキッチンへ向かった。


「お風呂にする?」の後に「それとも私?」とか、言われてみたかったな。

そしたら即答で「奈央美!」って言う、絶対。

はあ、アホだな、俺。

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