モカブラウンの鍵【完結】
11月の風は冷たい。

心が冷えていれば、それはいつも以上に冷たく感じた。


予定のない休日が増え、1人の時間が増える。

こいうとき姉ちゃんが来ればいいのにと、自分勝手な考えが浮かぶ。


空の冷蔵庫を見て、買い物でも行こうと部屋を出た。

エレベータに乗り込むと、バギーを押した女の人が乗ってくる。

エレベータのドアを片手で押さえた。

「ありがとうございます」と言いながら、バギーを上手くコントロールしながら、エレベータの中に入った。


「何階ですか?」

「すみません。1階で」

俺は1階のボタンを押し、閉めるのボタンを押そうとした時、背の高い男の人が乗ってきた。


「和樹さん、どうしたの?」

「俺も一緒に行くよ。あ、すみません」と言って、男の人が閉めるのボタンを押す。


この人たちは、うちのマンションで一番の美男美女夫婦。同じ7階に住む高橋さんだ。

俺は高橋さん夫婦に背を向けて、ボタンを眺めていた。

< 239 / 300 >

この作品をシェア

pagetop