モカブラウンの鍵【完結】
お盆を持ったお義母さんがリビングに入ってきて、俺たちの前にお茶と羊かんを並べる。

「お父さん、これ華屋の羊かんですよ。涼太さんがお土産に持ってきてくれたのよ」

「華屋の羊かん! 私も家内も大好きなんですよ、羊かん。ありがとう」

本当に羊かん好きなんだな、奈央美のご両親。

2人は嬉しそうに羊かんを食べている。


和やかでいいけれど。

この状況で『娘さんと結婚させてください』と言っていいのか?


「お父さん、お母さん。羊かんばっかり食べていなでよ。何で、涼太が来てると思ってるのよ」

痺れを切らした奈央美が言ってくれたおかげで、ご両親は羊かんをテーブルの上に置いた。


「すまない、涼太君。つい」

「いえ」

俺がお義父さんとお義母さんの顔を見ながら、背筋を伸ばした。


よし、言うぞ!


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