モカブラウンの鍵【完結】
佐伯さんの方を見ると、マグカップを両手で持って、中を覗き込んでいた。

この部屋にいるのも気が滅入るだろうし、気分転換にどこかに行った方がいい気がする。


「これからどうしますか? 夕方まで、どこか行きますか?」

「ねえ、夕飯って杉山の家で食べるの?」

「はい。もし外が良ければ、そうしますけど」

「ううん。今から杉山の家に行ってもいいかな? ここにいるのはちょっと気が重いの。でも、どこかに行って気晴らしする気力もなくて」


そりゃそうだよな。


「いいですよ。うちに行きましょう。俺、映画好きでDVDが結構あるんで、一緒に見ましょうか?」

「うん」

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