君の笑顔が


「…ねぇ君」


「…」


彼女は表情を変えずに振り返った。


「…名前…何て言うの?」


「…」


彼女は何も発さなかった。


やっぱ、教えてくんねぇか…。
"ごめん"
そう言おうとしたとき。


「…ユキ。」


「…え?ゆき?」


「そう。ユキ」


あ、名前か…。


「…ユキね!俺、石塚雅也。よかったらこれからも会えない?」


勇気を振り絞って言ってみた。

下手したら変な人だと思われる…。
かけに出たんだ。


「…別にいいけど」


よっしゃー!


「じゃあとりあえず、明日10時にここでいい?」


「うん」


「じゃあなユキ!」


ユキと名乗った彼女は歩き出した。

だから俺も家路を…彼女とは逆の方向を歩き出した。



ユキ…か。
嘘か本当かは分からない。

けど、一歩近づけた。


喜びを胸に噛み締め、幸せを堪能した一日だった。



< 5 / 16 >

この作品をシェア

pagetop