臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「おい、美久…。余計な詮索をするな」


美里のマンションに着いてから、航平は不機嫌だ。美久は航平に注意をされて、小さくなってしまった。麻由子もそれに合わせて小さくなる。

航平は腕を組んで、目を瞑っていた。誰も言葉が発することが出来ない状態で、タクシーは重苦しい空気のまま、ただ走った。


20分後、麻由子のマンションに到着する。


「ありがとうございました」


麻由子は航平に向かって、頭を深く下げる。


下げた麻由子の頭を航平はクシャクシャにした。


「フッ、そんな深く下げなくていいって。おやすみ。また会社で」


いつもの爽やか笑顔の航平になっていて、麻由子も安心したように「おやすみなさい」と笑顔で返した。


(また頭を撫でられた!)


去っていくタクシーを見ながら喜ぶが髪の毛はグチャグチャである。

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