臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
鋭かった目は優しく、突然優しい目に変わる。

その変わりようにも麻由子は恐怖を感じた。


「俺さ、こっちに配属になって、藤野に会えるのをすごく楽しみにしていたんだよね。研修の時からいいなと思っていたし」


研修時、何かと近付いてきていた佐久間の気持ちに麻由子は薄々気付いていた。でも、麻由子は佐久間のことが何となく苦手で困っていた。

だから、佐久間が大阪に配属になったときは内心ホッとしたのだった。


佐久間は今回の異動は麻由子に近付くチャンスだと思い、今こそ気持ちを伝える時だと意気込んでいた。今夜このままお持ち帰りをしたいとさえも思っている。


「ごめんなさい。私…」


麻由子はハッキリ断ろうとする。好きな人がいるからダメだと。

< 133 / 255 >

この作品をシェア

pagetop