臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
伝えたい
翌日の10時50分に麻由子は待ち合わせの駅に来た。


辺りを見回すが、まだ航平の姿はなかった。航平と待ち合わせしているという事実に胸が高鳴る。


しかし


高鳴りが止まった。


「おはよ、藤野」


航平よりも先に佐久間が姿を現す。佐久間は麻由子が来る5分前から来ていて、看板の影に隠れていた。そして、待ち人が来ないのを確認してから、麻由子の前に出てきたのだ。

不敵な笑みを浮かべる佐久間に麻由子は警戒する。


「まだ速水さん、来てないじゃん。本当に約束してんの?」


まだと言われも、約束の時間になっていないのだ。だから、来ていなくてもおかしくはない。

だけど、麻由子は、敢えて答えなかった。


「ねえ、やっぱり俺とデートしようよ。今日の藤野、かわいいよね。どこかでまずランチしようか」


まるでナンパしているかのように誘ってくる。
< 149 / 255 >

この作品をシェア

pagetop