臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
営業課のドアを開ける。


「ご苦労さん。あっちで報告を聞くよ」


正面に座る営業課長が銀縁のメガネを左手で上げながら、ミーティングルームへ行くように促す。


「はい。すぐに行きます」


自分のデスクに荷物を置いてから、時計を見た。終業時間まであと30分。

これから報告をして、データの入力もする。残業は免れない。

まだ苛立つ気持ちはおさまらない。


軽く溜め息を付いてから、報告書を手にしてミーティングルームのドアを開けた。
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