臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「見てくる!行こう!」

「行こう!行こう!」


楠本夫婦は仲良く手を繋いで、病室を出て行った。


「あいつら、うるさいな」

「でも、仲良いよね」


航平は再び椅子に座って、笑う。


「赤ちゃんの名前、どうしよう?決めなくちゃ」

「考えたよ」


航平は外の桜を見る。生まれる前に決めようとしたけど、なかなか決定することが出来なかった。でも、赤ちゃんの顔を見て、浮かんだようだ。


「桜の咲く季節に生まれたかわいい女の子だから、おうかなんてどう?」

「え?おうか?どう書くの?」


航平はメモ用紙に書いて見せた。


『速水桜香』


「どうかな?」

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