臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
お土産の話をしてから、一週間後、航平は日帰り出張に行った。

その翌日、「藤野さん」と総務課に顔を出した航平は麻由子を呼んだ。


「は、はい」

「はい、お土産。ちゃんと買えたよ」


紙袋から大きなお菓子の箱を出して、麻由子に渡す。


「みんなで食べてくださ~い!」


航平はフロア全体を見回しながら、そこにいる全員に聞こえるよう大きな声で言った。

あちこちからお礼の言葉が聞こえる。


「速水さん、ありがとうございま~す」

「おー、ありがとう」


麻由子もしっかり航平を見て、「ありがとうございます、いただきます」と頭を下げた。

「約束だったからね」

航平は麻由子の頭を軽くポンッと、叩いた。
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