臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
航平は母親と高校生の妹と暮らしている。父親が5年前に事故で他界、姉の美里はその少し前に結婚していて、家を出ていた。

まだ中学生だった妹と母親だけでは不安だったので、大学生だった航平は社会人になっても家を出ないで一緒に住んでいる。


「そうなんですか、家族思いなんですね」

航平の話に麻由子は感心しながら、知らなかった家族構成を知ることが出来て嬉しかった。


「そこです、止まってください」


タクシーが止まったマンションの前に美里と制服を着た女の子が立っていた。

航平が下りて、2人に近付く。


「お兄ちゃん、ごめんね」


航平と美里に似たかわいい女の子が謝る。


「あら?麻由子ちゃんも乗っていたの?二人一緒だったの?」


美里がタクシーの中に誰がいるのかと興味津々で見てきた。
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