恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



雪也に言われ、花澄はゴクリと息を飲んだ。

……このまま、キューを前に動かせばいいのだろうか。

花澄は意を決し、ボールを撞いてみた。

ボールはころころと転がり、台のポケットに落ちていく。


「お! 上手いじゃん~」

「……」


……入った。

これはまぐれなのだろうか、それとも……。

多分、雪也が丁寧に教えてくれたお蔭だろう。

花澄はキューを握ったまま体を起こした。

ビリヤードは初めてだが、これなら自分でもできそうだ。

それに、なんだか……楽しい。

花澄は顔を輝かせ、傍らの雪也を見上げた。


< 132 / 476 >

この作品をシェア

pagetop