恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



「まぁとにかく、あたしが言いたいのは、アイツに引きずられないようにってこと。あんた、流されそうだから、それが心配なんだよね」

「……知奈から見てもそう見えるんだ……」

「あんたって正面からの攻撃には強そうに見えるけど、ちょっと違う所から押したら簡単に倒れちゃうっていうか。そういう不安定さがあるんだよね」

「……うっ……」

「そういう所が、男から見たらほっとけないって感じなのかもしれないけど。でも流されたら、とんでもない所にたどり着くかもしれないよ? だから気を付けなよ?」


知奈のアドバイスがなぜか心に染みる。


――――流されたら、とんでもない所にたどり着く。


その言葉に不安を覚えるのは、どうしてなのだろう……。

花澄は内心で戦きながら、コーヒーカップに指を伸ばした。



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