恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】

6.変わりゆく心




その日の夜。

花澄はお風呂を上がった後、キッチンに向かった。

キッチンの隅にある冷蔵庫から、夕方にスーパーで買ってきたカップアイスを取り出す。


「はぁ、暑い~……」


今日は少しお湯の温度が高めになっていた。

いつもなら入浴後はタンクトップの上に長袖のパジャマを着るのだが、今は湯上りで暑いのでタンクトップのままだ。

11月と言えど、風呂上がりのアイスは格別に美味しい。

アイスは二つ買ったのだが、一つはスーパーを出た後に二人で公園で食べた。

並んでベンチに座って、花澄がカップアイスの蓋を開け、スプーンでアイスを掬って……。


「……っ」


花澄は思わず頬を染めた。

……そう、ただアイスを食べるだけ、だったはずなのに……。


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