恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



幼い頃から、ずっと心の中にあったもの。

冷たくされても、つれなくされても、ずっと心の奥底で求め続けてきた――――自分の半身。

何よりも大事な、かけがえのない人。



――――自分は、環が好きだ。



でも、環を選べば……家族を見放すことになってしまう。

家族を選べば、環と一緒にこの先の人生を歩むことはできない。

環は白黒はっきりつける性格だ。

別の人と結婚して環との関係を続けるなどということは、環の自尊心が許さないだろう。


……どうすれば、いいのか……。


自分の『選べない』性格を、自分の弱さを、正面から突き付けられる。

花澄は両手で顔を覆い、嗚咽した……。


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