恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



「……?」

「今日は花澄ちゃん家に行くからって言ったんだけど、ついて行くって聞かなくてさ。……で、あの格好で来られたから、急遽予定を変更したってわけ」


雪也は肩をすくめて言う。

……まさか美鈴が寮にまで行っているとは思ってもみなかった。

美鈴はどうやら本当に本気らしい。

しかしやってることは、こう言っては何だが……ストーカーと紙一重だ。


「……大丈夫、雪くん?」


と思わず聞いてしまった花澄に。

雪也はハハと笑って言った。


「今のところは大丈夫。何かあれば寮母さんに言うから」

「は、はあ……」

「花澄ちゃんが釣竿持って俺の部屋の前に立ってたら、大歓迎なんだけどな~」



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