恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~




脳裏に浮かぶ、環の瞳。

憎しみと恨みに染まった、あの榛色の瞳。


────環のあんな目を、見たくはなかった。


しかし環にあんな目をさせたのは、まぎれもなく自分なのだ。

環を傷つけ、あそこまで歪むほど苦しめてしまった、自分……。


恐らく環は金で自分の自由を奪った後、徹底的に報復するつもりなのだろう。

精神的に、肉体的に自分を傷つけ────破滅させる。

環はプライドも自尊心も高い。

そう考えるであろうと想像することは容易だ。

しかし……。

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