恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



アパートを探せないとなると、行く先は父の工房しかない。

しかし工房は箱根の山奥にあり、短期で働くといっても働き先がないだろう。

となると、八王子に居られるあと一週間の間に、できるだけ金を稼がねばならない。


花澄は目を皿のようにし、パソコンの画面に表示されたバイトの一覧をチェックしていた。

と、そのとき。

プルルル、と携帯が鳴った。

画面に表示されているのは、『月杜雪也』。


「もしもし」

『花澄っ! ……よかった、繋がった』


雪也は花澄の名を叫んだ後、どこかほっとしたように言う。

……見ると。

雪也から何件か着信が入っていた。

今朝からのドタバタで気付いていなかったのだが、雪也は何度か自分に電話をくれたらしい。

雪也は電話口でひとつ息をつくと、固い声で言った。



< 208 / 389 >

この作品をシェア

pagetop