恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~




『……花澄。恐らく、彼は昔の彼とは違う。気を付けた方がいい』

「うん……」

『何かあったら、すぐ俺に言って? 助けるから』


雪也の言葉に、花澄は苦笑を浮かべつつ、『うん』と言った。

────既に何もないとは言えない事態となっているが、まだ雪也の助けを借りる段階ではない。

それに自分が雪也に助けを求めたら、環はその怒りの矛先を躊躇うことなく雪也に向けるだろう。

そうなったら、雪也にとんでもない迷惑をかけることになってしまう。

それだけは避けねばならない。


花澄は雪也に礼を言い、静かに電話を切った……。


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