恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



「I am pleased to see you again. Aika……」


男は花澄に近づき、がしっと腕を掴む。

男の体から香る、強烈な体臭と煙草と香水の香り。

鼻が曲がりそうなその匂いに、花澄は思わずウッと鼻を押さえた。

男はそれに構わず、上機嫌な様子で花澄の腕を引く。


「Do you wanna go out with me? Let's go drink!」


どうやら呑み屋に自分を連れて行きたいらしい。

花澄は焦り、慌てて手を払おうとした。

けれど男の手は強い上、腕には青あざがあるため痛くてつい力が入らない。

花澄は次第に強くなる男の手に、青ざめた。


「……っ、痛……っ」



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