恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



「お前が逃げるなら、どこにも逃げられないようにするしかない。逃げようがなくなれば、お前は必然的に残った道を選ぶしかない」

「……」

「『選べない』お前には、その方が好都合だろう?」


環の言葉に、花澄は凍りついた。

……『選べない』自分。

だから環はわざわざ、こんな方法で自分を追い詰めようとしているのだろうか?

選ぶまでもなく、残された道を行くことしかできなくなるように……。

そして袋小路に入ったところを、復讐という槌で叩き潰すために……。


……もう、自分が行ける場所はどこにもない。

ここで環の気が済むまで、報復を受けるしかない。


ここは、檻なのだ。


情怨の、檻────。


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