恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~

5.二人で還る場所




翌日。

花澄は環とともに、箱根にある父の工房へと赴いた。

工房は芦ノ湖の近くを走る県道から、少し脇道に入った山里の中にある。

工房の真ん前は舗装されていない里道となっており、車が入ることができないため、二人は歩いて田んぼの脇の畦道を抜けた。


……昔。

花澄と環はここに来ると、この畦道でよく一緒に遊んでいた。

夕陽に染まる曼珠沙華をかき分け、陽が暮れるまで畦道を二人で駆け回った、あの幼い日々……。

思春期を迎え、いつしか二人の間には溝ができてしまったが、お互いを思う気持ちは昔からずっと変わらなかった。


「……懐かしいな」


環は辺りを見回し、呟く。

環は今日は濃紺の細身のスーツを身に着けている。

花澄もそれに合わせ、落ち着いた色合いのワンピースを選んでみた。


「7年ぶりだものね。……あれ?」


< 305 / 389 >

この作品をシェア

pagetop