恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~




花澄は環の唇にそっと口づけ、首元で輝く銀のネックレスを手に取った。

シリウスを象ったそれは、花澄の手の中でランプの光を反射して眩い輝きを放っている。


「……ねぇ、環?」

「なんだ?」

「香港に行ったら、南十字星って見れるの?」


と、花澄が聞くと。

環は軽く頷き、優しく微笑んだ。


「……サザンクロスか? 見れるぞ。季節にもよるけどな?」

「ほんと? 見れるんだ」

「日本の本州からじゃ見れないからな。向こうに行ったら、真っ先に見に行くか?」

「うん!」


花澄はネックレスを見つめながら、微笑んだ。

環を見上げ、視線を絡める。


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