恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
耳元に響く、低くハスキーな声……。
腰が砕けそうになる、その声……。
どうしますかと言いつつも、────選択肢など、ない。
花澄を見つめる、強い光を帯びた強引な瞳。
熱に浮かされたように頭の中が熱くなる。
鼓動が高鳴り、掴まれている手がしだいにじわりと熱を帯びる。
花澄は無意識のうちにこくりと頷いた。
暁生は花澄が頷いたのを見ると、そっと手を離した。
……その顔が、どこかほっとしたかのように見えたのは気のせいだろうか。
「それでは、また後で。席は私の方で取っておきます。……さて、そろそろ戻りましょうか?」
「……はい……」
なんだか、足がふらふらする。
胸がバクバクして、まともに考えることができない。
花澄はぼうっとしたまま、暁生にエスコートされ部屋へと戻った。