恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~




「わしもよくわからないのだが、とにかく人手不足らしい。で、たまたまあの展示会で再会した君を所長が推したらしい」

「所長……というと、賢吾さんが?」

「君なら所長にも社長にも面識があるし、高卒ではあるが社会人経験もそれなりにある。どういう仕事かあまり想像はつかんが、君ならこなせると踏んで推したんだろう」

「は、はあ……」

「で、だね。急な話で申し訳ないが、明日の朝から東洋合繊の本社に行ってほしい」


宮澤の言葉に花澄は思わず仰け反った。

……いや、いくらなんでもそれは急すぎるだろう。

それに花澄が抜けたらここの秘書の仕事はどうなるのか?

と思った花澄に宮澤は両手を合わせて言う。



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