恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
花澄は息を飲んだ。
確かに雪也は昔から花澄の心の内を何も言わなくても察してくれた。
『選べない』という花澄の弱さも、ただ一人、雪也だけは見抜いていた。
……雪也がどれだけ、自分を見てくれていたのか……。
それを思うと胸が切なく痛む。
しかし……。
こればかりは雪也に言うわけにはいかない。
花澄は蛇に睨まれた蛙のようになりながら、必死で頭の中で考えた。
……給湯室の向かいは女子トイレだ。
女子トイレにはさっき、秘書室の古谷諒子が入っていくのを見た。
こうなれば、イチかバチかだ。