恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



7年間、自分に何の連絡もしてこなかった雪也。

きっと彼は、あんな形で彼を裏切った自分とはもう会いたくないと思っていたのだろう。

けれどさっき、彼は自分を追って来ようとした。

……彼は、優しい。

彼が自分に向けてくれる優しさは昔から温かく真っ直ぐで、自分は彼の優しさにずっと心惹かれてきた。

彼に初めて会った、あの幼い日の七夕の夜から、ずっと……。


雪也は、7年ぶりに会った自分をどう思っただろうか。


それを考えると、胸に黒いものが広がっていく。

花澄は飲み終えたコーヒーの缶をゴミ箱に捨て、重い足取りで駅の方へと歩き出した……。



< 19 / 334 >

この作品をシェア

pagetop